第6章│ここでようやく、父と話せた気がします

ここでようやく、父と話せた気がします
喜怒哀楽の家族葬が生んだ、静かな対話の時間
家族葬の現場で感じた変化
法人化してからも、私はひとつひとつの納棺を丁寧に積み重ねてきた
形式にとらわれず、遺族の感情にそっと寄り添うことを大切にしていた
そんな中、とある家族との出会いがあった
故人は突然亡くなった父親だった
遺族は混乱し、打ち合わせも落ち着かない様子だった
それでも、どうしても自宅で葬儀をしたいという強い希望があった
自宅での一日葬 形式よりも時間を大切に
私は提案した
葬儀というより、語れる時間にしませんか
式次第よりも、思い出や言葉を大切にすること
それが、そのご家族にとって一番自然な別れになると感じた
自宅のリビングに布団を敷き
お花を並べ
遺影と、写真と、手紙を置いた
音楽もナレーションもない
ただ、静かな時間が流れた
ご家族がこぼしたひとこと
式が終わったあと
娘さんが、ポツリとつぶやいた
ここでようやく、父と話せた気がします
誰かに向けた言葉ではなかった
でも私は、その言葉をずっと忘れられないでいる
涙があったわけでもない
大きな演出があったわけでもない
ただ、遺族と故人が向き合う空間が、そこにはあった
本音を交わせる葬儀を
私は確信した
葬儀とは、区切りではなく、対話の時間であるべきだと
感情を抑えず
飾らず
誰にも遠慮せず
語りたいことを語る
そんな時間があっていい
むしろ、そういう時間こそが
故人との関係を完了させる手がかりになる
喜怒哀楽の家族葬が意味するもの
喜怒哀楽の家族葬という名前には
泣いてもいい
笑ってもいい
怒ってもいい
そういう思いを込めている
あの娘さんの言葉
父と話せた気がします
それは、葬儀という形の中で
一番深い供養だったのではないかと思う
次章へ
次回は、こうした家族葬の現場がどのように広がっていったのか
そして、なぜ今この葬送の形が必要とされているのかを伝えたい
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筆者について
樺澤忠志(とーたる・さぽーと0528代表/納棺師)
弘前市出身。父の死をきっかけに葬祭の道へ。今、感情を封じない「喜怒哀楽の家族葬®」を弘前で提供しています。
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喜怒哀楽の家族葬® 樺澤忠志の記録|全12章
これは、ひとりの納棺師が歩んできた12の記録。
「形ではなく、感情に向き合う葬儀」を信じてきた私の原点と、実践と、これからの話です。
- 第1章 身内を送るつもりで納棺する
岐阜での出張、初めて一人で任された納棺。家族の涙が、自分の原点となった日。- 第2章 ありがとうが疑いになった日
感謝として受け取った寸志が、誤解を生んだ。納棺師としての信念が試された出来事。- 第3章 1年という期限を自分で決めていた
最初から決めていた「1年間の修業」。納棺協会を卒業し、自分の道を歩き始める。- 第4章 ゼロから始めた 誰も頼れない道を自分で切り拓いた
遺品整理からの再出発。紹介も信頼もゼロの中、弘前で地道に始めた独立の日々。- 第5章 感情を抑えない葬儀を 誰かが始めなければと思った
コロナ禍で失われた感情の時間。「喜怒哀楽の家族葬®」という言葉に辿り着いた理由。- 第6章 ここでようやく、父と話せた気がします
自宅での一日葬。式ではなく、対話の時間が、遺族の心を変えていった。- 第7章 魂の成長としての葬儀
葬儀は終わりではない。「感情に正直になること」が人の魂を深めていく。- 第8章 その日、母が若返ったと言われた納棺の記憶
「母が若返った」――遺族の言葉が、納棺師としてのすべての原点になった。- 第9章 なぜ、今この葬儀が必要なのか
形式ではなく感情を整える葬儀へ。時代が変わり、必要とされている理由。- 第10章 ご家族の声が教えてくれたこと
「こんなに心が動いたお葬式は初めて」──遺族の言葉が、すべての証明だった。- 第11章 これからの供養と、心の居場所について
葬儀は、生きていく人の“心の居場所”をつくる時間。送り方が、生き方を変える。- 終章 最後の時間に 人は 魂の美しさを取り戻す
人は亡くなるとき、もっとも美しい魂を取り戻す。その瞬間に寄り添う納棺師の祈り。▶ ご相談・資料請求は
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