弘前市、父の葬儀だしたくない!(工藤家)
この物語は、とーたる・さぽーと0528が実際に担当した葬儀を元にしたノンフィクションです。
実例のエピソードを基に、心温まる家族葬、喜怒哀楽の家族葬の一例として描いております。
第1章: 電話での依頼
「父の葬儀をお願いしたいのですが、私は父とは縁を切っていて、正直言って葬儀も出したくないんです。費用も時間も何もかもかけたくないんです。むしろ、恨みと怒りさえ感じています。」
ある日、樺澤に入った一本の電話は、葬儀の依頼であったが、そこに含まれた感情は深い恨みと怒りで満ちていた。
工藤様は、父親との長い確執を抱えており、その中で葬儀をどのように行うべきか決めかねている様子だった。
「わかりました。まずは詳しくお話を伺わせていただけますか?どのような経緯でこのような感情を抱かれているのか、お話しいただけますか?」
樺澤は、相手の気持ちに寄り添い、まずは話をじっくりと聞くことから始めることにした。
第2章: 父との確執と過去の傷
「父は家族を顧みず、自己中心的な生活を続けていました。母が病気になった時でさえ、父は何の助けにもならず、むしろ負担を増やすような行動ばかりでした。」
工藤様の声は、苦しみと怒りが混ざり合ったものだった。
彼は父との関係について語り始め、長年積み重ねてきた不満と怒り、そして限界を超えて縁を切った瞬間について話した。
「私は長年そのことに耐えてきましたが、ある時を境に限界を感じて、縁を切りました。それ以来、父とは一切連絡を取っていません」
彼の話を静かに聞きながら、樺澤は心からその感情に寄り添うよう努めた。
深い憤りと悲しみがあったことを理解しながら、彼に今後どのように進めたいかを尋ねた。
「非常に辛い思いをされてきたことが伝わってきます。では、今回の葬儀についてはどのように進めたいとお考えですか?」
第3章: 簡素な選択肢の提案
工藤様は少し考えた後、次のように答えた。
「できるだけ簡素に済ませたいです。大掛かりな葬儀は避けたいし、費用も最低限に抑えたいです。正直なところ、父に対する感情があるので、あまり深く関わりたくないんです。」
樺澤は、彼の希望を尊重しながら、いくつかの代替案を提案した。
「それでは、簡素な葬儀や、または火葬のみを行う選択肢も考えられます。どの方法が最も負担が少ないとお感じになりますか?」
工藤様は少し迷った後、決断を下した。
「火葬のみでお願いします。それが一番負担が少なくて済みます。」
その選択は彼にとって、父との関係を最も簡素に終わらせる方法だったが、それでも彼の中には確かな葛藤が感じられた。
第4章: 火葬のみの進行
樺澤はその決定を尊重し、手続きを進めることを約束した。
「わかりました。それでは、火葬のみの手続きを進めさせていただきます。ご安心ください、全てこちらで対応いたします。何か他にご希望やご質問があれば、いつでもご連絡ください。」
工藤様は無言で頷き、深い溜め息をついた。
その溜め息には、長い間心に抱えていた苦しみから一歩前に進む覚悟が込められているように感じられた。
第5章: 火葬の日
数日後、弘前市の火葬場にて火葬が行われた。
工藤様は火葬場に一人で現れ、静かに手続きを見守っていた。
その背中には、長年の怒りと悲しみ、そして複雑な感情が全て混じり合っていた。
彼は火葬の瞬間、目を閉じて深く息を吐いた。
その瞬間、彼の中にあった怒りと憎しみの一部が、火葬の炎と共に消えていったようにも見えた。
「これで終わりだ」
そう静かに呟いたその言葉には、父への感謝はなかったかもしれないが、確かな区切りを迎えることができた安堵が込められていた。
第6章: それでも続く人生
火葬が終わり、工藤様は一人で帰路についた。
彼の足取りは重くも、どこか解放されたような軽さもあった。
父との関係に対しては、もう何も感じたくない、そう思いながらも、その過去を無視することができない自分がそこにいた。
樺澤はその背中を見送りながら、彼がこれから少しでも平穏な日々を過ごせるよう心から祈っていた。
「感情に寄り添うことが、どのような状況でも最も大切なサポートである」と、改めて感じる瞬間だった。
復元納棺師 樺澤より
今回の工藤様のご葬儀をお手伝いさせていただく中で、家族というものが必ずしも愛情だけで成り立つわけではないことを強く実感しました。
人間関係の中には、深い憎しみや悲しみが存在し、それを乗り越えるために葬儀という時間が必要な場合もあります。
「父とはもう会うこともないと思っていましたが、こうして最後に向き合わざるを得ませんでした」と語った工藤様の言葉には、複雑な感情が詰まっていましたが、どこかで彼が次の一歩を踏み出すための区切りを迎えたことを感じました。
これからも、どのような感情を抱える方に対しても、心から寄り添いながら、喜怒哀楽の家族葬を提供し続けていきます。
エピローグ: 喜怒哀楽の家族葬での新たな一歩
『喜怒哀楽の家族葬』では、形式に縛られず、家族の思いや感情を尊重した形で葬儀を提供しています。
**「弘前市 家族葬」**として、地域の皆様に寄り添い、どのような背景があろうと、故人を見送るためのサポートを行います。
「負担を少なく、心の中の区切りをつけたい」という工藤様の選択は、彼にとっての最善の形での見送りでした。
これからも、故人とご家族が心の中で折り合いをつけられるよう、私たちは全力で寄り添っていきたいと考えています。
その他の業務
事前相談
葬儀に関する事前相談を受け付け、個別に対応。家族や故人の希望を聞き取り、最適な葬儀プランを提案します。
寺院の紹介
檀家になっていない方のために、信頼できる寺院を紹介し、戒名や読経などの手配をサポート。
特殊清掃・遺品整理
特殊清掃:孤独死や事故現場での清掃を専門業者が行い、安全で清潔な状態に戻します。
遺品整理:故人の遺品を丁寧に整理し、貴重品や思い出の品を遺族に届けます。
海洋散骨・永代供養
遺骨を海に撒く「海洋散骨」や、お墓を持たない方への「永代供養」などの手配を行います。
粉骨業務
遺骨を粉にする「粉骨サービス」を提供。散骨や手元供養のために適した形で加工します。
墓じまいと檀家脱退コンサルティング
墓じまいを希望する家族のために、お墓の整理・閉鎖手続きをサポート。寺院との交渉や檀家脱退の手続きも支援します。
葬儀に一貫したサービスを執り行っています。
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