第10章│ご家族の声が教えてくれたこと

ご家族の声が教えてくれたこと
「こんなに心が動いたお葬式は初めてでした」
ひとつの納棺が、家族の会話を変えた
あるご家族は、身内同士の関係が少しぎくしゃくしていた
日頃あまり会話もなく、遠慮が先に立っていたという
その中で迎えた納棺の日
ご遺体を整える時間が進むにつれて
徐々に、ご家族の表情も、空気も、変わっていった
最初は黙って立っていた人が、ポツリと語り出す
子どもが、写真を一枚持ってきて並べる
最後には、手を合わせながらこう言ってくれた
今日、やっと父にありがとうが言えました
葬儀が家族の会話をつなぎ直す
その瞬間を、私は何度も見てきた
感情を出してよかったという声
ある方は、式の後こう話してくれた
笑ってはいけないと思っていたけれど
思い出を話していたら、みんな自然に笑っていて
あれが一番の供養だったと思うんです
別の方はこう言った
怒りを持ったまま送り出すなんていけないと思っていたけど
正直に口に出してよかった
許せないという気持ちを言ってみたら
不思議と、少し楽になりました
悲しみだけでは、心は完結しない
私が感じるのは、
悲しみだけで終わる葬儀は
どこかで心が引っかかったままになるということ
喜びも
怒りも
寂しさも
そのすべてが、故人との関係に含まれている
それを「出していい」と思える空間をつくること
それが、私の仕事だとあらためて感じている
『このお葬式にしてよかった』という言葉
ご家族から何より嬉しいのは、最後にかけていただくこの言葉
このお葬式にしてよかった
こんなに心が動いたのは初めてです
それは、派手な演出でも、立派な会場でもない
ただ、自分たちの言葉と感情が許される時間だったという実感
それが、喜怒哀楽の家族葬®の価値だと私は思っている
喜怒哀楽に正解はない
誰かが泣いて
誰かが笑って
誰かが黙っていたとしても
どれも間違いではない
感情に正解はない
ただ、向き合う場があるかどうかだけが大切
それをご家族の声が、いつも私に教えてくれる
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次回は、これからの時代に向けて
なぜこの葬儀が必要なのか、そしてどんな未来をつくりたいのか
私のビジョンを言葉にして綴ります
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筆者について
樺澤忠志(とーたる・さぽーと0528代表/納棺師)
弘前市出身。父の死をきっかけに葬祭の道へ。今、感情を封じない「喜怒哀楽の家族葬®」を弘前で提供しています。
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喜怒哀楽の家族葬® 樺澤忠志の記録|全12章
これは、ひとりの納棺師が歩んできた12の記録。
「形ではなく、感情に向き合う葬儀」を信じてきた私の原点と、実践と、これからの話です。
- 第1章 身内を送るつもりで納棺する
岐阜での出張、初めて一人で任された納棺。家族の涙が、自分の原点となった日。- 第2章 ありがとうが疑いになった日
感謝として受け取った寸志が、誤解を生んだ。納棺師としての信念が試された出来事。- 第3章 1年という期限を自分で決めていた
最初から決めていた「1年間の修業」。納棺協会を卒業し、自分の道を歩き始める。- 第4章 ゼロから始めた 誰も頼れない道を自分で切り拓いた
遺品整理からの再出発。紹介も信頼もゼロの中、弘前で地道に始めた独立の日々。- 第5章 感情を抑えない葬儀を 誰かが始めなければと思った
コロナ禍で失われた感情の時間。「喜怒哀楽の家族葬®」という言葉に辿り着いた理由。- 第6章 ここでようやく、父と話せた気がします
自宅での一日葬。式ではなく、対話の時間が、遺族の心を変えていった。- 第7章 魂の成長としての葬儀
葬儀は終わりではない。「感情に正直になること」が人の魂を深めていく。- 第8章 その日、母が若返ったと言われた納棺の記憶
「母が若返った」――遺族の言葉が、納棺師としてのすべての原点になった。- 第9章 なぜ、今この葬儀が必要なのか
形式ではなく感情を整える葬儀へ。時代が変わり、必要とされている理由。- 第10章 ご家族の声が教えてくれたこと
「こんなに心が動いたお葬式は初めて」──遺族の言葉が、すべての証明だった。- 第11章 これからの供養と、心の居場所について
葬儀は、生きていく人の“心の居場所”をつくる時間。送り方が、生き方を変える。- 終章 最後の時間に 人は 魂の美しさを取り戻す
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